徳丸浩の日記: 都道府県型JPドメインがCookieに及ぼす影響の調査(情報元のブックマーク数)

高木先生がおっしゃっていたことを徳丸さんが検証してくれています。

JPRSからのプレスリリース『JPRSが、地域に根ざした新たなドメイン名空間「都道府県型JPドメイン名」の新設を決定』や報道などで「都道府県型JPドメイン」というものが新設されることを知りました。
都道府県型JPドメインとは、現在活発に使われていない地域型ドメインを活性化する目的で、地域型ドメインの制約(ドメイン名が長い、一人・一団体あたり1つまで)を簡略化しようというもののようです。
しかし、現在の地域型ドメインは、ブラウザにとって処理がややこしいもので、IEなどは昔からまともに対応していません。このため、Cookie Monster Bugという脆弱性になっているという経緯があります。このルールをさらに複雑にすることになるということから、ブラウザセキュリティに関心の高い人たちが騒ぎ始めています。
そこで、高木浩光氏の日記「JPRSに対する都道府県型JPドメイン名新設に係る公開質問」の以下の部分に関して、調査をしてみました。
何もしなければ、「都道府県型JPドメイン名」の登録が始まっても、cookieを利用できないなどの欠陥ドメイン名となることが予想される。
調査は、「何もしない」状態、すなわち現在のブラウザで、都道府県型ドメインをシミュレートして、Cookieの受け入れられる状態を確認しようというものです。

都道府県型JPドメインがCookieに及ぼす影響の調査 | 徳丸浩の日記

まとめ

現在のブラウザの仕様が変わらないという前提で、都道府県型JPドメインの運用が始まった際の影響を調べました。
FirefoxChromeSafariについては、3レベルのドメインについてCookieが受け入れられない場合があります。この結果、Chromeの場合3レベルのドメインではCookieがまったく利用できません。FirefoxSafariでは、ホスト名そのままのCookieは利用できますが、サブドメイン間でCookieを共有できないという問題につながります。
IEOperaについては、Cookie Monster Bugのため、Cookieを安全に利用できないという問題があります。
この結果をどう評価するかですが、私は、高木浩光氏の日記で指摘された「cookieを利用できない」という欠陥よりも、IEOperaCookie Monster Bugの方が気になります。とくに、IEのシェアは現在でもかなり高いため、地域型ドメインおよびその後継である都道府県型JPドメインでは、Cookieを安心して使えず、セキュリティ上の大きな障害になると考えます。

都道府県型JPドメインがCookieに及ぼす影響の調査 | 徳丸浩の日記

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