第2回 中国文化に合ったセキュリティ教育を考える - 現地で見た中国ICTセキュリティ最新事情:ITpro(情報元のブックマーク数)

中国でのエスカレータの乗り方マナーの変化から、セキュリティ教育を見る

今の上海でのエスカレーターの乗り方は、右側に立ち、左側を歩くというマナーになっている。いわゆる日本の大阪方式だ。実はこのマナー、半年前には全く存在しなかった。今では、市外や中国外から来る人を除いて、老若男女問わずこのマナーに従っている。
ほんの半年前まで、エスカレーターに乗る人は混とんとしていた。基本的には「先に前に出たもの勝ち」の世界であり、われ先にとエスカレーターに乗り込む。

第2回 中国文化に合ったセキュリティ教育を考える | 日経 xTECH(クロステック)

ボランティア活動でマナー違反を指摘、あとは明示することで、ルールが決まっていった。fmfm

町中にはボランティア活動中を示すゼッケンをつけた人が多数おり、町の案内をしたり、マナーに反している人を指摘したりしている。その活動の一つに「エスカレーターの乗り方」があった。エスカレーターのあるところには、ボランティアが『左行右立』という看板を持って立つ。エスカレーターの手すりにはステッカーが張られた。その効果は絶大だった。
今では、マナーに反する人に対して、「間違っているよ」と周りから注意したり、無言で非難の目を向けるような行動も見られる。混んでいる時はエスカレーターに乗るための行列ができ、人の流れが滞る点でマイナスに感じるが、行動の変化があったという点で非常に面白い。

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これを応用して、中国でのセキュリティルールを浸透させるには、ルールをはっきりさせること。日本人の好きなあいまいなルールではだめってことだ。

マナーリーダを立ってる、そして、マナーリーダにはそれ相応の報酬を与えることで、しっかり仕事をさせる。

セキュリティルールの浸透は「ルールの明示」と「監視の目」

エスカレーターのマナーが定着したように、情報セキュリティのルールを根付かせる場合にも、何らかの施策が必要だ。重要なのは、まずルールをはっきりさせて、正しいこと、間違っていることを明示することだろう。例えばポスターなどの掲示物で目に付くところにルールを明示するとよい。
ルールに違反したときに、可能な限りその場で過ちを正すことも必要である。そのためには社内に「マナーリーダー」を数人立てるとよい。「マナーリーダー」は通常業務に取り組む傍ら、社内ルールを広めたり、周囲でルールに違反している人がいたら、指摘して直させたりする役割である。ここでは社員が自主的に守ることを期待して、マナーという言葉を使っている。結果として「マナーリーダー」以外の人間が、ルール違反を互いに指摘し始めたら成功といえる。情報セキュリティは総務部の担当者が担っていることが多いが、一人で情報セキュリティを広めるのは不可能である。そこで現地の社員と分担するわけだ。
ポイントは「マナーリーダー」本人が、その担当になることで何らかの利益を得られるようにすること。例えば給料を若干上げたり、福利厚生面で他の社員よりも優遇したりといったことが考えられる。合わせて日本人の総務担当者が、社員と「マナーリーダー」の行動をチェックすることも必要である。もし問題があれば、「マナーリーダー」を直接指導するなどの改善をしなければならない。

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