ユーザー同意なしで帯域制御も可能に、ISP団体が指針案 − @IT

ISPの団体が、ヘビーユーザの回線でユーザに連絡なしに帯域制御が可能なガイドラインを策定したそうです。

日本インターネットプロバイダー協会など4団体は3月17日、アプリケーションやユーザーを指定して帯域を制御するためのインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)向けのガイドライン案(PDF)を公開した。一部のPtoPファイル共有ソフトウェアやヘビーユーザーの利用でトラフィックが増大し、利用者全体の帯域がひっ迫することをさけることが狙い。アプリケーションやユーザーの利用を制御するには、ユーザーの同意が必要と指摘する一方で、ISPの「正当業務行為」に当たる場合にはユーザーの同意なしで帯域制御を行えるとしている。

通信の秘密の中、P2Pの通信とどうやって判断するのでしょうか。

通信量の多いだけで判断すると

ガイドライン案は「帯域制御を行う場合の合理的範囲についての基本的枠組みを示すもの」。帯域制御の対象はPtoPファイル共有ソフトウェアなどの特定アプリケーションと、トラフィックの利用量が極端に多い特定ユーザー。

基本的にはトラフィック増大に関しては計画的に増強をしなさいというのがガイドラインで、正当業務防衛のために帯域制限も可能との形になっているようです。

ガイドライン案は一方的な帯域制御を支持する内容ではない。帯域制御については「トラフィックの増加に対しては、本来、ISP等はバックボーン回線などのネットワーク設備の増強によって対処すべきであり、帯域制御はあくまでも例外的な状況において実施すべき」と指摘。一部のISPがすでに行っている帯域制御については「合理的な水準を超えた帯域制御をISP等が安易に選択するような事態は適切ではない」としている。
そのうえで、例外的に帯域制御が求められるケースとして、「ユーザーのトラフィックまたは帯域を占有している特定のアプリケーションを制御する必要があるといった一定の客観的状況が存在する場合にのみ」と説明する。特に「客観的データによって裏付けられていることが求められる」と強調して、公平で誰もが納得できるデータが必須としている。また、PtoPファイル共有ソフトウェアの利用による著作権侵害やセキュリティ上の問題を理由とした帯域制御については、すべてのユーザーに一律で適応することは「合理的な範囲を超えている」として、退けている。

基本的には遮断は同意が必要で、帯域制限についてだけユーザの同意なしで実施可能とのこと。

特定アプリケーションを対象に帯域制御する具体的なケースとして、PtoPファイル共有ソフトウェアのトラフィックが帯域を過度に占有して、ほかのアプリケーションの通信に支障が生じている場合や、アプリケーションの種別に応じてその帯域の制御に違いを設けることを挙げて、「一般的に正当業務行為として診断される可能性が高い」としている。
ただ、認めているのは帯域を絞ることだけで、特定アプリケーションを対象に通信を遮断することは正当業務行為と認められるのは困難として、ユーザーの同意を得る必要があるとしている。つまり、特定アプリケーションについて帯域を絞ることはユーザーの同意なく実施できるが、遮断については同意が必要ということだ。

どの程度で制限かけて、どの程度で連絡して止めるかは、各プロバイダーの設備等によると言うことで、ISPの個別ガイドライン対応基準待ちという形になるそうです。

このガイドライン案が正式決定され、実際にどのように運営されるかは、各ISPの考え次第だ。ガイドライン案は帯域制御を行うかどうか判断する際の客観的な指標や基準について各ISPが「個別に判断する必要がある」としている。ガイドラインを受け入れる各ISPは自らで帯域制御に踏み切る際の基準を定める必要がある。基準が横並びになる可能性もあるが、基準内容にISPの個性が現れることにもなるだろう。

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