インド人エンジニアが繰り広げた驚きのバグ対応 - すごい現場:ITpro(情報元のブックマーク数)

こういうキーマンが必要ってことだな、逆にいうと

しばらくして、旧知のWeb制作会社から「緊急でスクリプト開発を引き受けてくれる会社を探している」という問い合わせが来た。すぐにGさんのことを思い出し、引き合わせることにした。この会社はデザイン力が強みで、プログラム部分は協力会社に依存していた。諸事情で急にその協力会社に頼めなくなり、窮地に立っていたのだ。
納期は短く、予算も限られた案件だったが、Gさんは躊躇なく引き受けてくれた。要件はGさんがヒアリングして取りまとめ、開発はインド本社でやる体制である。小さな案件であったが、筆者もインドへのオフショアにかかわるのは初めてだったので、プロマネ支援と称して立ち会うことにした。Gさんの要件聞き取り能力は非常に高く、インドの開発スピードも予想以上だったため、プロジェクト全体は順調であった。しかし、納期を数日後に控えたある日、バグがあることが判明した。
すぐにWeb制作会社に集合し、状況を確認した。ある特定の条件でしか発生しないバグであったが、これでは納品できない。Web制作会社の女性担当者Aさんは焦りで顔が引きつって、「何とかしてほしい」を繰り返す。Gさんはバグの現象を確認後、どこかに電話を数回かけたあとに申し出た。「Skypeでインドにつないで直接プログラマとやり取りをしたいので、インターネットにつながっているPCを貸してほしい」。
SkypeがつながるとGさんは、驚くようなバグフィックスを始めた。最初は英語で話をしていたが、途中で相手が代わったようで、今度はヒンディー語でしゃべり始めた。そのうち英語とヒンディー語が混ざるようになり、何を言っているのか全く分からない。そしてしばしばAさんに日本語で質問をする。手は超高速でキーボードをたたいている。時間がたつにつれGさんのしゃべりは熱を帯び、声がどんどん大きくなり、早口になってきた。
目の前のPCを駆使しながら、英語、ヒンディー語、日本語の3言語をすさまじい勢いでまくし立てるGさん。そのうちAさんがクスクスと笑い出した。Gさんには申し訳ないが、まるでタレントのタモリの得意ネタ「デタラメ外国語」のような雰囲気になってきたからである。Gさんが真剣な分、余計におかしいのだ。不謹慎と思いつつ筆者も耐えきれず笑っていると、Gさんがぴたりと黙った。一瞬の静寂。しまった、悪いことをした、と思っていると、Gさんは「解決しました」と静かに言ったのである。
1時間後、修正されたプログラムがインドから送られてきて、バグは見事になくなっていた。Gさんがたまたま特別に優れたエンジニアなのかもしれないが、複数言語を使いこなす語学力、高度なITスキル、先進ツールを自在に操るリテラシー、そして日本式の営業マナーをわきまえる順応性などを目の当たりにして、「インド人恐るべし」と率直に感じたのであった。

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