World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題(1/3) − @IT(情報元のブックマーク数)

松崎さんによるWorld IPv6 Dayのいろいろ

2011年6月8日、日本時間で午前9時から24時間、WebサイトにAAAAレコードを追加してIPv6対応してみるベント「World IPv6 Day」が行われました。当日は世界的に大きな混乱もなく進行し、予定していた24時間を終えることができました。これは、多くの志ある方々の努力があって実現できたことだと思っています。

World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題(1/3) − @IT

World IPv6 Dayのポイントはここ

今回は、Webコンテンツの提供者側に注目し、24時間と時間を区切って、これまでIPv4のみでサービスを提供してきたWebサイトにAAAAレコードを追加して、IPv6対応させてもらうことをトライアルの柱にしました。ユーザーが日常的に利用している環境で問題がないかを検証するため、IPv6に対応した特別なURLを用意してもらうのではなく、既存のメインサイトIPv6に対応していただくようにお願いしました。
これまでもIPv6に対応したWebサイトはありましたが、ユーザーが頻繁に参照しているWebサイトがIPv6に対応するとなると、検証の本気度が違うものです。世界でいろいろな問題が発見され、解決に向けて開発元に報告されたり、回避策が検討されたりしました。

World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題(1/3) − @IT

海外のルータの初期設定の問題、フレッツ光サービスのIPv6->IPv4フォールバック時に時間がかかる問題。

ユーザー環境では、ソフトウェアの開発者が想定していなかった環境で問題が発生する事例が数多く報告されました。例えば、6to4での接続環境では、世界のどこかにきちんと運用されていないリレールータがあるだけで、通信に問題が出る場合があります。
また、日本ではあまり利用されていないようですが、海外で発売されている一部のブロードバンドルータIPv6の初期設定に問題があり、端末にIPv6アドレスが設定されないままdefault経路のみが設定されるといった状況が報告されました。
日本では、NTT東西の提供するフレッツ光サービスで、IPv6閉域網のIPアドレスがユーザーに付与されているため、IPv6IPv4のフォールバックが格段に発生しやすい状況が報告されました。これは、最初にIPv6での接続を試み、それがうまくいかない場合はIPv4での接続に切り替えるという挙動ですが、この際、切り替えがうまくいかなかったり、許容できないほどの時間が掛かるという状況が報告されました。
実はこれらの問題は以前から発生していた問題ですが、World IPv6 Dayというイベントでその問題が再認識され、対策に向けて多くの方々が知恵を絞りました。

World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題(1/3) − @IT

面白い試み。AAAAをフィルタか。

最終手段としてISPが検討したのは、AAAA filterと呼ばれる方式でした。ISPで、IPv6のレコードであるAAAAレコードを応答しないキャッシュDNSを用意します。そしてこれを、無用なIPv6IPv4のフォールバックが発生しているユーザー向けに提供することで、問題を回避してもらおうというものです。

World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題(2/3) − @IT

fmfm

Path MTU Discoveryに関連する問題も報告されています。IPv6TCP接続はできるものの、コンテンツが得られないといった状況です。
おそらく、ICMPv6がサーバ側に到達しないような設定が経路上のどこかにあったため、途中のMTUの小さなリンクをコンテンツを含んだパケットが通過できない事象が発生していたようです。各サイトでは経路上のフィルタルールの見直しを行ったり、サーバ側でTCP MSSを少し小さな値に上書きするなどして対策を行っていました。
これらの問題は発見次第、IRCを通じて各サイトに報告されて対策を促していました。今後はIPv4と同じく、ブロードバンドルータ側でTCP MSSを上書きするなどの対応が広がってくるのではないかと考えています。

World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題(2/3) − @IT

ぉぉーー!

最後に、あちこちでWorld IPv6 Dayに関わった方々、あるいは、関わらなかったけれどIPv6の導入に努力してこられた方々、ありがとうございました。今後も大変なことは多そうだけれど、楽しいことができそうな準備がようやく整ってきました。今後も楽しく頑張っていきましょう。

World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題(3/3) − @IT

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