ネットワークデザイナーの真価が問われる時代に − @IT(情報元のブックマーク数)

Shownetの裏話と功績。他社のベストエフォートな相互接続(IPSECも含めて)を実際に動かしてみて実践する場。それも技術者が自らってのは素晴らしいよなぁ。

6月7日から11日まで、千葉・幕張メッセで「Interop Tokyo 2010」が開催される。ネットワークをテーマとした展示会だが、ただ出展各社が製品を展示するだけではない。協賛各社が提供するネットワーク機器を使って、限られた期間で、異機種混在で実際に使える「次の時代」のネットワーク、ShowNetを作り上げる――これこそ、ほかのイベントには見られない、Interopならではの醍醐味だ。
ShowNetは、どこか有力な1社とその他大勢という上下関係ではなく、各機器が対等に相互接続しながら、一歩先のネットワークの姿を示す場となっている。「世の中のトレンドを先取りする場。各エリアのスペシャリストが集まり、いま解決しなければならない問題に真摯にぶつかっている」(慶應義塾大学 中村修氏)。
Interopの展示会場でも配られるであろう製品カタログを見てほしい。そのほとんどに「○○標準準拠」「○○対応」といった説明が記されているだろう。だが、そうしたスペックを信じて同じ標準に対応しているはずの機器を接続してみると、思いもしない挙動が生じ、想定したとおりに動いてくれない――こんな経験をしたネットワークオペレータは少なくないはずだ。InteropのShowNetは、この問題に文字通り体当たりで取り組んできた。

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問題があっても本番までには直すってことか!

Interopの展示会は6月9日から始まるが、ShowNetの本番はその前から始まっている。「HotStage(ホットステージ)」と呼ばれる準備期間中に、さまざまなベンダ(コントリビュータ=協賛社)が提供する機材を物理的に接続し、設定を施し、チェックを行い、展示会では問題なく動作するよう課題をつぶすという作業に取り組んでいるのだ。

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素晴らしい功績。

「PPPは元々は、単にカプセリングを行うだけのプロトコルで、ネゴシエーションの部分がなかった。それを世界に先駆けて日本で実装した。こんな風に日本のInteropで実装、実証して世界に広がっていた技術は少なくない」(シスコシステムズ 森川誠一氏)。
いまでこそ広く普及し、ブロードバンドを支えているADSLも「当初は、『ISDNと干渉するのではないか』など、ADSLは日本では動かないのではという否定的な声もあった」(日立製作所 高津智明氏)。
ADSLをはじめとするxDSL技術の検証にShowNetが取り組んだのは2000年、まだ商用サービスが開始される前のこと。ADSLモデムやDSLAM(Digital Subscriber Line Access Multiplexer:局側でバックボーンに接続する設備)を提供するベンダがそろい、ShowNetを通じて出展各社にネットワーク接続を提供するという試みを行った。その時点では、DSLAMから先のネットワークをどのように構築するのか、加入者認証はどうするのかといった運用技術も見えておらず、Interopを通じて手探りで確立したという。
その少し前、1998年にはギガビットイーサネットの相互接続性を検証したし、さらなる高速化のニーズに応えようと生まれたリンクアグリゲーションの仕様についても、実際につないでみてはじめて分かった課題があった。

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SOC(セキュリティオペレーションセンターもオプションから標準に昇格。

2003年からは、セキュリティとの間でも同じようなことがあった。
ちょうどそのころ、SlammerやNimdaといった感染力の強いワームが猛威を振るっていたが、ShowNetでも会場内で利用したレンタルPCが問題になったことをきっかけに、急速にセキュリティ対策がクローズアップされるようになった。そこで産まれたのがSOC(Security Operation Center)だが、当初は「オプション」扱いだった。
「最高のネットワークを提供する」ことを第一に考えていたネットワーク担当(=NOC)とセキュリティ担当(=SOC)との間では、当初、用語も違えば、意見の食い違いが生じることもあったという。ネットワーク設計が決まったあと、セキュリティ担当者が勝手にポート構成を変えたり、ラックを追加したりといったこともあったため「『混ぜるな危険』と呼び掛けたこともあった」(萩原氏)。

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