仮想化エバンジェリスト タカハシ氏が語る“仮想化の落とし穴”【最終回】 - Enterprise Watch(情報元のブックマーク数)

仮想化するには、先を見越してのストレージ購入ってのは大切で、ハードメーカーが頑張ってストレージを買わせようとしているのも事実

ストレージが決まると、必然的に仮想化ハードも決まってきてしまうので、ベンダーも今そこを狙っているんですよね。
確かにストレージはケチったら、安物買いの銭失いになる可能性があり得ますね。

■ ストレージは最初から「ケチっちゃだめ」
タカハシ氏
ITシステムにとってストレージが重要なことくらいあらためて指摘されるまでもなく当然分かっている、という読者も少なくないだろうが、仮想化におけるストレージは何よりも重要なデバイスとなりうる。
「仮想化の良いところは、従来の物理的なハードウェアとしてのサーバーが『データの塊』に変わるところ。つまり、OSのインストール・イメージとコンフィグレーション・データからなる『仮想サーバー・イメージ』に置き換えられるわけです。データの塊は物理ハードウェアよりも扱いやすいわけですが、ではそのデータの塊はどこにあるか、といえば、当然ながらストレージです」とタカハシ氏は指摘する。
仮想サーバーの起動から終了まで、ストレージには常にアクセスが連続する。パフォーマンスの劣るストレージを使っていれば、仮想サーバー群すべてのパフォーマンスに影響を与えるし、万一ストレージがダウンしてしまうようなことがあれば、全仮想サーバーが同時に全滅してしまうことだってありうるわけだ。サーバーの仮想化、ということでサーバーの処理能力に目が向きがちではあるが、実のところシステム全体の性能を左右してしまう最重要コンポーネントだというわけだ。
「仮想化に取り組むときには、サーバーの選定も大事ですが、最初に考えなくてはならないのはストレージ周りなんです。ストレージの玉(HDD)にどういう玉を使ってどう配置するのか、SANをどうやって設計するのか、MTBF平均故障間隔)やSLA(サービス品質保証)をどうデザインするのか。これが仮想化データセンター全体の品質とパフォーマンスを決めてしまうんです。『ストレージは後で交換が利かない』とまでは言いませんが、エラく高く付くので、『最初からケチっちゃだめだ』と言っています。」とタカハシ氏は続ける。

仮想化エバンジェリスト タカハシ氏が語る“仮想化の落とし穴”【最終回】 - Enterprise Watch Watch

バックアップリストアも色々あるみたい。スナップショットをたくさんとっていたら、マージ作業が大変。

バックアップ/リストアに関してもさまざまな落とし穴があるようだ。ハイパーバイザーのレベルからは、仮想サーバーが利用する仮想化されたディスク領域を1つのファイルとして扱うことができるため、バックアップは単純なファイルコピーとして実現できる、と言われることもあるが、常にそうとは限らない。
VMwareの場合、バックアップは内部的にはまずスナップショットを作成し、次いでそのスナップショットをコピーする、という形になっています。また、バックアップの場合には『ほかにスナップショットがないこと』という条件が付くので、世代管理でたくさんのスナップショットを作っていた場合には、まずスナップショットの全世代をマージするという作業が発生します。スナップショットのマージは、1世代なら速いんですが、世代数が増えると急激に時間が延びるんです」(タカハシ氏)
こうした問題は、運用のスタイルによってはまったく遭遇しないユーザーもいるわけだが、いざ遭遇すると途方に暮れてしまうだろう。いつでも任意の時点のシステム状態を復旧できるようにこまめにスナップショットを保存しているユーザーの場合、バックアップのために1日分のスナップショットすべてをマージするために10数時間掛かる、という状況に陥ったこともあるそうだ。システム規模によっては、「1日分のバックアップを取るのに1日以上掛かる」ということになると、システムとしては完全に破たんしていると言わざるを得ないだろう。

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