標準カーネル統合間近!TOMOYO Linuxの足跡:第2回--押し寄せる危機の連続 - インタビュー - ZDNet Japan(情報元のブックマーク数)

TOMOYOの第1の危機SELinuxの至上主義

LSMは、さまざまなセキュアOSが標準カーネルに共存できるように設けられた仕組みだ。これが削除されては、SELinux以外のモジュールは、もはや永久にメインラインに入ることができなくなる。そうなれば、SMACKだけでなくTOMOYO Linuxのメインライン化への夢も水の泡となってしまう。
このSELinux至上主義ともいえる議論は、ますます強硬さを強めていった。誰もがLSMはなくなるものと覚悟し、もうSELinux以外が採用されることはなく、TOMOYO Linuxの提案もこれまでかと思われた。

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Linuxは多様性を求めるというLinusの一言で危機を脱した!

そのときだった。それまで沈黙を守っていたLinus Torvalds氏が、突然LKMLに登場し、強く鋭く反発した。彼の意見は、「自分たちのやり方が一番正しいという議論はウンザリだ。Linuxはあくまでも多様性を求める」というものだった。
Linusの一言は、まさに『神風』だった。それまで混迷していたLKMLの雰囲気は一変し、議論には終止符が打たれた。しかも彼がLSM削除に反対したことで、SMACKだけでなく、TOMOYOや他のモジュールにもメインライン入りの可能性が再浮上した」と語るのは、プロジェクトメンバーでLSM版TOMOYO Linux 2.0の開発を担当したNTTデータ 技術開発本部の武田健太郎氏だ。

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やっぱり人と人のつながり、原田さんたちが頑張ったおかげでこの人間関係ができて、メインライン化近くまでいっているんですよね。

苦慮し続ける中で、ふと6月にJapan Linux Symposiumで会ったAndrew Morton氏が、「困ったことがあれば俺に聞け」といっていたのを思い出した。TOMOYOチームは、すぐさまMorton氏に相談した。
 「Al ViroにIRCで聞いてみたよ」という彼の答えは、「Alは、LSMの変更はfsの変更を伴うので、ダメだと言っている。だから、LSMインターフェースの拡張で行け」というものだった。プロジェクトメンバーは、Morton氏に感謝しつつ、情報に基づくパッチを作成してAl Viro氏に送った。9月11日のことだった。以後、TOMOYO Linuxのプロジェクトチームは、失った時間を取り戻そうとするかのように、ほぼ毎月パッチを投稿しつづけた。
 12月17日、ついにTOMOYO Linux宛にAl Viro氏からの返事が届いた。それは、TOMOYOを追加するために必要となるインターフェースの修正を知らせるものだった。LSMのインターフェース拡張作業は2009年1月に完了し、「これでメインライン化への『外堀』は埋まった」(原田氏)

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