毒にも薬にもなるERPの“ベストプラクティス”− @IT情報マネジメント(情報元のブックマーク数)

欧米型ベストプラクティスを日本に入れたら、、、そりゃクレームだわなw

ERPを通じて大企業のベストプラクティスを手に入れる──この考え方は一見、間違っていないように思えます。しかし、人に個性があるように、企業にもそれぞれ文化や特徴があります。確かに、先行する大企業の業務プロセスやノウハウに学習すべき点は多いのですが、ターゲットとする顧客層やアプローチ方法などは企業によって異なります。これを無視してERPパッケージに含まれたベストプラクティスを採用し、先行する導入企業と同じことをしても、好ましい結果が出るとは限りません。むしろ従来のやり方を変えることで、それまで積み上げてきた実績や信頼を損なうリスクの方が大きいのです。
また、日本で販売されているITシステム関連製品の多くは、欧米から輸入されたものです。ERPパッケージも欧米型の企業組織を想定して開発された製品ですから、そのまま導入しても日本の企業組織にはうまく適用できない場合もあります。日本独自の商習慣や考え方に基づいて構築、発展させてきた国内ベンダによる製品もありますが、自社の商習慣という問題がありますから、そのまま導入しても期待する効果はまず得られません。「ERPパッケージに反映されている」というベストプラクティスについても同様です。単純に成功事例だけで導入を判断すると、自社の文化や商習慣になじまないために、思わぬ失敗を招くこともあるのです。

毒にも薬にもなるERPの“ベストプラクティス” (1/2) - ITmedia エンタープライズ

ベストプラクティスで個人裁量がなくなったことで、クレーム。あり得るなぁ。

B社は急きょ原因調査を行った。すると、長年付き合いがある顧客については、営業担当者の配慮によって優先的に納品したり、取引先の状況を先読みして事前に生産手配を行い、在庫の積み増しをしたり、といった工夫を施していたことが分かった。
ところが、こうした商習慣がERP導入によってリセットされ、大手メーカーと同様に、「受注データに基づき、すべての取引先を対等に扱う」という考え方が適用されてしまった。これがB社が長年かけて築いてきた商習慣と信頼関係を崩してしまったのである。
営業部門でもできるだけの対処はしようと考えた。しかし、「在庫水準を最小限に抑える」ことを目的としたERPの機能と新しい業務プロセスによって、個人の判断でできていた柔軟な納品指示や生産手配は、もはや不可能であった。

毒にも薬にもなるERPの“ベストプラクティス” (2/2) - ITmedia エンタープライズ

ERPをベンダ丸投げすると、後で苦労するのは自分ってことです。Commitとか社内のワークフローの変更も含めて自社で考えて進めましょう。

中堅・中小企業では、ベンダにERP導入を丸投げするケースが数多く見受けられます。しかし、「ITシステムのことはベンダに任せておけば大丈夫」という軽い気持ちがのちのち致命的な失敗を招くことになります。ベンダはシステム構築には長けていますが、ユーザー企業の状況や特徴などを深く理解しているわけではありません。従って、そのまま任せ切りにしておくと、他社の成功事例を“そのまま”適用してしまい、失敗するケースが生じるというわけです。
今回の事例も、ERPパッケージのベストプラクティスを過信し、自社の環境や強みをかえりみず“そのまま”導入してしまったことによる失敗です。他社の事例から自社に有効な要素を取り入れることは積極的に行うべきですが、「どの要素を、どのような形で採用するか」具体的な導入イメージを検討し、判断を下すのは、ベンダや社外コンサルタントではなく、自社であるべきです。

毒にも薬にもなるERPの“ベストプラクティス” (2/2) - ITmedia エンタープライズ

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