日経BP知財Awareness - 利用が広がるオープン・ソース・ソフトウエア − 企業での活用では知財権管理がポイント

オープンソースソフトウエアを使う上ではライセンスという大きな壁がありますので要注意ですね。

開発者や知的財産担当者は利用に際して通常のソフトウエアとは異なる知財権管理が必要である。OSSは,誰でも自由に改良し,再配布できる。複数のユーザーによる自由な改良が開発コストの軽減につながる点は,OSSの大きな利点だが,これによって思わぬ知財権侵害が発生する可能性がある。まず,OSS は,知財権が放棄されたソフトウエアではなく,むしろ,厳しいライセンスによって護られたソフトウエアなのだということを理解する必要がある。そのため,知財権やライセンス条件などの厳格な管理体制を社内で構築することが重要である(本誌注)。
 OSIが,”OSSのライセンスである”と認定しているラインセンスは50種類以上ある。これらは「OSS」とひとまとめにされているが,その内容は多様である。自分が使用しているOSSのライセンスについて,その特性を良く理解することが不可欠である。通常,異なるライセンスによって配布されている OSSを寄せ集めて新たなソフトウエアを作ることは許されないため,注意が必要である。OSSの利点は「知恵」を共有し,集約できることにあるはずだが,ライセンスの種類の多さがそれを阻害する結果となっている。
 具体的な例を挙げると,主要なOSSライセンスの1つであるGPL(general public license)では,ユーザーはソース・コードを自由に閲覧して改良できるが,再配布する際には改良したソース・コードを開示する義務を負う。また,オリジナルの改良ではない独自のプログラムをGPLのプログラムに追加して一体化した場合にも,その追加部分をGPLで公開しなくてはならない。これは GPLの大きな特徴であるが,このような特性をよく理解していないと,本来秘匿しようと考えていた部分に公開を義務付けられ,公開を怠ると訴訟の対象となる可能性もある。例えば,プリンタにおけるプリンタ・ドライバは,プリンタの性能を左右する重要なソフトウエアであり,メーカーにとっては重要な知財である。これをGPLによるソフトウエアと誤ったやり方で一体化させてしまうと,ドライバ・ソフトにGPLが及び,そのソース・コードを公開しなくてはならなくなる可能性もある。

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