本質を学ぶ:第10回 「技術的にできない」は禁句

結局はコミュニケーション力って事かな。技術的な説明よりも現場の言葉で説明ってことか。

「できません」はだれでも言える

 調べもしないで「できない」という情報システム部やソフト会社は論外だが,現実には色々と試してみた結果,本当にできないこともある。その場合は言い方一つである。
 とりわけコンピュータに慣れていない現場の利用者を相手にする場合は,技術的な説明をいくらしても,あまり効果はない。相手が考えるのはコンピュータの技術や性能のことではなく,情報システム部やソフト会社がどれくらい工夫してくれたかである。
仮に10個ある要求のうち,5個しかこたえられないことが分かったとする。その場合,絶対に外してはいけない機能はどれかを考える。そして実現できる5個の機能は,実現を見送る5個に比べて,ずっと効果が大きいことを印象づける。できない5個については,どうすれば今後実現できるかを説明する。
こうしたちょっとした工夫が利用者の気持ちを180度転換させることにつながる。利用者のためにシステムを作っていたはずが,いつのまにかシステム構築を完了させることが最優先になってしまうことがよくある。情報システム部など開発者は常に,プロジェクトの目的を振りかえる必要がある。